2024年4月に読んだ本

今月は10冊読みました〜!
実用・教養書と小説のバランスが個人的に良い感じ。
有名過ぎて手に取るタイミングを逃した本もどんどん読んでいきたい所存。


1.0402 頼藤太希・高山一恵
はじめてのNISA &iDeCo
楽天証券SBI証券オルカンかS&P500買っとけ!!!
ニーサの事はめっちゃ情報流れてくるしやってるけどイデコについては全然知らないので手に取ってみました。
今はイデコに回せるほどの稼ぎがないので奨学金が終わったらイデコも視野に入れたいなと思いました。
実家が太くないのに私立美大はいくな(戒め

 

2.0407 川内有緒
目の見えない白鳥さんとアートを見にいく
ずっと前から気になっていてやっと読めた!
このタイトルを見てから、目が見えた時期がある場合、色や形の概念は伝わるだろうから、目の前の作品をいかに具体的に伝えられるかという尺度で「より良い鑑賞」が出来たとなるのかな?と思っていた。
でも、目が見えた事が一度も無い人の場合、正解ってないよな…。じゃあ、どういう事を伝えれば「より良い鑑賞」で、そもそも白鳥さんにとってのアートってなんだろう。って考えていた。
この本を読んで、「美術鑑賞」に正解を求めがちな自分に気付いた。作者の意図をより正確に汲み取れたら勝ち、みたいな。
多分これはツイッターで難解なアニメとかを語る時に発生する知識マウントというか、その流れから来ている気がする。
「美術」は自由なはずなのに、そしてそれを高い学費払って学んだ筈なのに、小説を書いたりしている内に「言いたい事伝わってるかな〜?」と作者の気持ちを答えなさい脳になっているのを自覚した。恥ずかしい。
そして当たり前なのだけれど、同じ絵を見てもその人が辿ってきた経験によって見えるものが違う。
作者の経歴とかを知らずに直感で好き!を大切にしてみたいなと思った。
美術館に行くと、いつも一番最初に作者の経歴や〇〇だから後世で評価されているという案内文を流れで読んでしまい、それを踏まえたフィルターがどうしても生じる。
見る人によって、美術は変わる。そして、当然ながら同じ人間はいない。だから、美術を通してその違いを味わう事がこんなにも幸せで贅沢に感じるのかな。
目が見えない=不便で可哀想という価値観は正しいのか等今一度考える事が沢山ある素晴らしい本だった。
美術館、久しぶりに行きたいな。それも難解すぎてちんぷんかんぷんなやつがいい。

 

3.0411 金原ひとみ
ミーツ・ザ・ワールド
恋愛経験ゼロの腐女子と自分はこの世から消えるべきだと思っているキャバ嬢の友情のお話。
キャバ嬢ちゃんのこの世から消えるべき〜ってのは悲しい事があったとか鬱とか厨二を拗らせているわけではなく、何となくこの世界においては自分は死んでいるのが自然な姿だと思うという考え方に基づいている。
恋愛経験全くないけれど、フワフワ生きてるし一度くらい経験したら考えが変わるかも、なんてノリで腐女子のゆかりは合コンに参加するも無茶をした挙句路上で大量嘔吐する。
その介抱をしたキャバ嬢のライはあまりにも生活能力がないので流れで一緒に暮らす事になるのだけれど、この二人の関わり方がファンタジーだけどリアルで、面白い。
近くにいて、大切な存在だけれど、全く理解出来ない。その生き方のすれ違いみたいなのが分かるなあって思った。
読んでいてすごいアサヒさんに惹かれたけどこういう男を好きになると絶対に大変な事が起きるのは分かりすぎる。

 

4.0414 ペーター・シュタム 松永美穂
誰もいないホテルで
海外文学、中でも新潮クレストを読みたいな〜とふらついていたらとても惹かれるタイトルが。スイス文芸の短編集です。
凄い淡々とした日々と、忍び寄るどこにでもある不穏がじんわりとゆったりとどこまでも広がり続けるも穏やかで不思議な読感。
物語的に二人は幸せなキスをして終わり、でもいいのに何処までも優しくない。けれど日常ってこんなもんだよな…とどこかこう、負の感情を自然と受け入れる体勢が読んでいるうちに出来てしまう。
松永美穂さんの訳が素晴らしくてスッと入って来るのもあるのかな。
シュタムの絵本も読んでみたいし、松永さんの訳なら若干苦手意識のある海外文学も楽しめそう。実りのある一冊でした。

 

5.0416 千早茜
西洋菓子店プティ・フール
凄く可愛らしい表紙でオビに書かれた「甘いものはこんなにも簡単に人を幸福にする」って煽りを見てホッコリ系を読みたいな…と思っていたので読み始めましたが、千早茜先生節が炸裂している。甘いクリームを引き立てるための苦味がとても強い。
連続短編集なので読んでいる内に他者から見た登場人物の印象なども分かって、それが凄くリアル。
お菓子だけでなく、登場人物達のいろんな形の片思いを描写しているのですが、綺麗なだけじゃない思いの描写が本当にゾッとするほど生々しくて素敵。
主人公に恋する男の子から見た世界とか、甘いけれど悲しみのエッセンスも感じられて凄く切なくなった。その彼に恋する女の子の、可愛い爪を施した手でケーキを鷲掴みにしたい欲求とか分かるなぁ…って思った。
あまりにも良かったので千早茜先生ブームが来そう。いっぱい読みたい。

 

6.0419 ブレイディみかこ
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
英国で暮らす白人の父親と日本人の母を持つ「ぼく」。
見た英国にまだ根強く残る差別や、最近になって変わって来ている風潮を「ぼく」の母であるブレイディみかこさんが学生生活や地域での暮らしを通して、生々しくも優しい視点で描いている。
日本も近年かなり経済格差が感じられるようになったけれど、明らかに「貧困!」って感じの人は道を歩いてはいない。
けれど英国では制服が明らかにボロボロだったり給食のフードミール、私立と公立校の全国大会での扱いの差など普通に暮らしているだけで「あっ」とその差を感じてしまう場面が多そうだ。
私にとって小さい頃、学校は世界の全てだった。そして理不尽を受け入れるだけの器はまだ育っていなかった。
だから、人によっては挫けてしまってもおかしくない環境だと思う。それでも、子供達は必死に世界を学んで、受け入れて、折り合いをつけていく。
環境が全く違う国でも、子供達は懸命に生きている。そして、偏見のないピュアさがある。
彼らを見習い、エンパシーを大切にして深く世界と繋がって行きたい。そう思った。

 

7.0423 松井久子
疼くひと
70才の女性に性欲はあるか?って聞かれたら「人によるけど、女性ってそもそも性欲がそんなにないんじゃ…お年も召しているし」って答える人が多いと思う。
あります!!!性欲!!!というのを声高に伝えたい。
女性の場合、誰でもいいからセックスしたい〜♡というのはあまりないと思う。
けれど、好ましいと思った人物と肌を重ねるかもしれないと思った瞬間にスイッチが入る感じ……。
あの官能の喜びと愛に年齢なんて関係ないと思う。
この本は今まで肌を重ねる愉しさを知らなかった70才の脚本家が、そのドラマのファンである56才の男と恋に落ちるお話です。
セックスをするに当たっての、老いに対する容貌の不安や気後れが生々しく描かれている。
でも、そういうフェーズ後の二人のセックスはとても開放的で凄く楽しそうなのだ。
ラスト、途中までは「えぇ〜!?」ってなったけれど、最終的にとても良かった。

 

8.0427 東崎惟子

少女星間漂流記
え〜〜、私これめっちゃ好き〜〜!!!
近未来、荒廃してしまった地球から生き延びた人々は安住の星を探して旅をしている。
優秀な科学者でコミュ力が高いリドリーと、内気だが腕っ節が立つワタリもその一人で、二人は銀河を馬車型の宇宙船に揺られながら様々な星を訪れる。
短編集で一話一話オチがつき、教訓を得たり、ほっこりしたりする。
星新一キノの旅を彷彿させるテイストなのだけれど、主役二人のほどよい百合関係(百合といっても、お互いをパートナーとしてリスペクトし合っていて信頼関係がしっかり築けているのが分かる女友達といった具合で性愛的な描写はない)がそこに合わさって来て、この二人にどんどん愛着が湧く。
ブラック味が効いている悪の星、ホラーみを感じる話の星、紙の本愛にうるっときた本の星のお話が特に好き。
夏の星、凄い日本の島村に漂う風の温度だとか匂いが伝わって来て、「ああ…」ってなった。一巻の終わりのお話として完璧だと思った。
二巻出たら絶対に買う。

 

9.0428 湊かなえ
告白
実は初・湊かなえ作品。
めちゃくちゃ有名な作品で、デビュー作。他に気になる湊かなえ作品はあるけれど、まずはこちらを読まないとダメかなと思い手に取りました。
自身の幼い子供が、クラスの生徒に殺されたと教師がホームルームで告白する事で物語は始まる。
このテーマだけで興味をそそり、次が気になるけれど、章ごとに変わる当事者達の視点から見たこの事件の本音や思惑がとてもナマの人間らしさを感じて面白い。
この子視点だと普通…か?って微妙な違和感も納得しそうになるんだけど、他の登場人物からするとやっぱりおかしかったり。
作品の方向性としては一人の人間の感情の深掘りというよりかは、悪意の育ち方に照準を定めている様に感じました。
犯人は分かっているのですが、答え合わせをしながら読み解くのが面白くて一気に読んでしまいました。
なんというか娯楽としての殺人を凄く堪能させて貰った感。
割とキツめのテーマも扱っているので不快に思う人はいるだろうな…と思いつつも、好きだなあと思いました。

 

10.0430 榎田尤利
犬ほど素敵な商売はない
角川の一般レーベルですが、濃厚な性描写のあるBLです。エッチだった…。
犬として買われた美青年と社長が徐々に惹かれていくタイプのBLなのですが、前半は本当に「犬」として躾けられる描写が続く。
それがまあ本当に性的な接触はゼロなのにお耽美で凄く好きでした。
人ではなく「犬」として心を通わせていく内に、人間の目線では気付かない気遣いだとか信頼に気付き、「犬」としての心地良い暮らしに染まっていくのが一番エッロ、、、と思いました。
BLだとド定番な攫われた受けを奪い返しに行くスパダリ攻めが見れてちょっとコテコテだなとは思いましたが、皆好きだから…。
私もこのパターンは…来るぞ!遊馬!とは思いつつテンション上がりました。