2024年2月に読んだ本

引っ越しの準備やら、ペルソナ3リロードとapexの新シーズンプレイしたり、ハズビンホテルを一気見してたら2月…終わっちゃった…。

今月は7冊と少なめになってしまいましたが読んだ本はどれも面白かったです。

 

1.0205 奥田亜希子
透明人間は204号室の夢を見る
私は二次創作をするオタクだし、見た目も悲しい程にイケていない。
けれど、アニ○イトの前で奇声を上げるタイプのオタクを見ては「あちら側には絶対にならぬぞ…!」と固く誓っている。
あちら側、こちら側、その真ん中というのがこの世には常々あって、それは人によって基準が違う。いくら私が「私は現代社会に馴染めてるオタクなんだ〜!」と主張してもキラキラ世界の人からすれば「オタク、キモ」と一蹴されてしまうだろう。

本書の主人公である美緒も、二人組作って〜!で必ずあぶれる、かなり重症な陰キャである。
最初はまあ地味で、学生時代のノリという狭い世界に馴染めないだけの、フツーに陰なのだろう…と思っていたが、陰仲間である筈の私すら引く程に、美緒はあまりにもホンモノなのだ。

「身の程を知れ」というペンケースのエピソードや、自分のフィールドに人が来た瞬間だけマシンガントークになる描写とか本当に辛くて、こっちが苦しくなる。

そんな美緒だけれど実は学生時代にとある文学賞を取った作家である。けれど、書けない日々に苦しんでいる。本は売れないとどんどん返品されるものなので、どんどん自著は街の本屋から消えてゆく。
人々に忘れられていく中、大型書店で自作を手に取る男が現れ、美緒はこの男がどんな人物なのかを知りたく思い、ストーキングをする事で物語は動きだす。
日々、彼=春臣のポストに書けなくなっていたはずの小説を投函し、透明人間という空想に耽っては自身の意識を彼の部屋に飛ばす。

ある日、SNS経由で知った、春臣の恋人であるいづみが巻き込まれたトラブルを救った事で、美緒は恋人達に急接近する事になって…というのがあらすじです。

この本を読む人の多くは美緒か、輝かしい未来を全く疑わないいづみを眩しく思う地に足がついた春臣に共感するのかな…と思います。私は海のシーンから春臣にグッと共感しながら読みました。
痛くて苦くてしょっぱいお話ですが、凄く好きです。

 

2.0206 山下紘加
煩悩
中学生の頃から嶽本野ばら先生が好きなんですけど、それきっかけでほんタメのあかりんと本の好みが似てるかも!?と思い、彼女がオススメする本はチェックしていたりする。
本書もあかりんのほんタメ文学賞候補作品である。

この本は女友達が題材である。
涼子と杏奈、この二人の関係性は読む人によって意見が別れそうだと思った。二人は親友?百合?それとも母娘?
無防備でやさしい杏奈を、優しい言葉で支配する涼子が気持ち悪いと思いつつも、女友達を繋ぎ止めるのって難しいよねとも思った。
女同士の特別って不思議で、彼氏じゃないのに誰かに取られるのが信じられないくらい許せない事がある。
寂しいから必要なのではなく、彼女じゃないといけない、そんな必然性がある。名前のつけられない歪んだ感情がただただひたすらにグルグルして、ストーリーが進行するわけでもなく、正直とても読み辛いと思った。
けれど、人間の感情ってそういうものだよな…と思う。
タイトルの煩悩はどこにかかっているんだろう。難しい読書体験だった。

 

3.0214 俵万智
あなたと読む恋の歌百首
短歌というものをあまり知らないのだけれど、お店でパラパラ〜っと見たらなんか、短い歌だからこそ、立ち読みでもグッと引き込まれて気付いたら買ってました。
とても良い恋の歌のアンソロジーで、百人の歌人の百通りの愛が載っている。

俵万智さんの、恋愛に関してすごいあけすけで、生活感すらある飾らない気持ちが解説としてとても面白かったです。
恋のあるある集でもあると思うので、夢女の皆さんは推しとどんな恋愛をしたいのか想いを馳せてみても楽しいかもしれない。いや嘘、絶対楽しいです。

私のお気に入りの歌は青井史さんの「月に立つ君のそびらのひとつほくろ告げざらば永久にわれのみのもの」です。
自分だけしか知らないほくろって、イイ。

 

4.0216 葵遼太
処女のまま死ぬやつなんていないみんな世の中にやられちまうからな
凄いタイトルだな…と思い手に取った。
女に生まれると知りたくないもない、商品価値としての女体を実感させられるし…そういうテーマなんかな…って思ったら、難病純愛ものと青春バンドものの両方の性質を併せ持つ♡お話でした。特盛!

読感もよく、気持ちよさと愛おしさと切なさで涙が溢れました。
闘病パートと青春パート、温度感は違くても同じ優しさが流れていて、この一冊でこの二つのテーマを描く必要性がしっかりと感じられました。
プロローグの砂羽視点の、初めてのセックス後、世界がキラキラと輝いて見える描写がとても好き。
だからこそ濃厚セックスのくだりにワンワン泣いちゃった。
クラスで浮いてる奴らでバンド組むの、ベタだとは思うけど大好物です。ギャルとオタクの組み合わせも大好物です。

 

5.0222 畑野智美
ヨルノヒカリ
優しいお話を読みたいな〜と思っていた所、この本をすすめるツイートが流れて来ました。
元々複雑な家庭育ちで、更には母親が亡くなり天涯孤独になってしまった青年と、恋愛感情が分からない手芸屋の女店主の心温まる交流のお話です。

この、ドキドキを感じるわかりやすい性愛じゃないけれど、この人といると優しい気持ちになって、離れたくないなぁ…って気持ち凄く分かる。
お互いの居場所を見つける、優しい距離の縮み方がとても好き。
登場人物皆良い人だけど、ちょっとした欠点だとか生々しいリアルの部分があって優しいだけの御伽話的フィクションじゃないのが良かった。

布を断ち切るあの失敗出来ない、張り詰めた緊張感とか、相手を想って作るお洋服の描写とか、手芸はあまり触ってこなかった分野だけれどその温もりが伝わって来て、この作品に外せない要素だと思いました。

 

6.0225 たかた
クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった
次に来るラノベ〜以前からめちゃくちゃ売れていましたがやっと読めた。
2番目と容姿を評価するのどうなんだろう…AKB商法というか、美人過ぎても〜っていうやつなのかなー?って思っていたけど、ちゃんと(世間の評価的に)2番目じゃないと駄目な理由があって良かった。

いわゆる1番ちゃんとの友情や、どうしても比べてくる外野や、それ引っくるめてうまくやろうとしてストレスを抱えているヒロインの内面がしっかりと描かれているのが好き。
主人公は陰だけれど、誰かを見下したりもなく、ちゃんと意思表示もするし、好きなものがあって、それを大切にしているからこそヒロインとの好きなものを分かち合う交流が響いたのも分かる。
高校生らしい青さとキラキラした甘酸っぱい成分を摂りたい人におすすめです。

 

7.0229 杉浦さやか
世界をたべよう!旅ごはん
イラストレーターの杉浦さやかさんのイラストたっぷりな旅行ごはんエッセイ。
読んでいてすごい癒された〜!イラストの色遣いがとてもキュートでまあるい線画と合わさり明るい気持ちになります。
そして、食という身近な日常から世界を知るのって本当に楽しい!
TWGのお茶が好きっていうのもあるけど、シンガポールに行ってみたいな〜と思いました。
つやつやの鶏肉がどーん!とのったチキンライスとっても美味しそう!市場で色々見て回りながらごはんを買うのにもとても憧れる♡