今月は5冊読みました〜!
8月はまず「愛するということ」を絶対読むぞ!と思っていて
ならもう今月は「愛」がテーマの話を一気に読もうと思ったのでした。
なんか予想外に己のトラウマを刺激する話が多くて、自分語り多めです。スミマセン。
1.0807 エーリッヒ・フロム著 鈴木晶訳
愛するということ
難しいけれどなんとなく分かる、そんな本だった。
愛というと、性愛や親子愛などが思い浮かぶ。
性愛というと「恋に落ちる」というイメージがある。
または「愛する」となると、そのための相手をガツガツ探したり、振り向かせるために気を引くという印象を受ける。
親子愛というと、自然に芽生えるものという認識がある。
確かに今体の中にいるもう一つの生命に対して話したこともないのに愛着がある。
だから「愛すること」に技術が必要とは思わない人が多数だと思う。
でも、愛することは学びであり、学ぶ研鑽をしない人は真の学びにたどり着けない。
それと同じこと…と私は読み取ったんだけど合ってるかなー?
話の最終的な着地点として「愛」というよりも「愛する為に必要な知性」という印象を受けた。
私は本当の知性とは「盲信的にならない」「白でも黒でもない事に耐えること」なんじゃないかな、と最近のSNSを見ていて特に思う。
自分が両方出来ているかは怪しいけれど、この誠実さを持たないと人を愛する土俵に立つことがまず出来ないのでないかと思う。
また人と接する事で躓いた時や、知性について考えたい時に読み返したいなと思う。
2.0816 柚木麻子
BUTTER
毒婦と呼ばれた木嶋佳苗事件は2009年ごろに起こったらしい。
それでも今でもなお記憶に新しいのは彼女の容姿と振る舞いのせいなのだろうか。
彼女をモチーフにしたであろう梶井真奈子(カジマナ)の独占インタビューを狙う週刊誌のライターである里佳。
里佳は親友の怜子から「料理好きはレシピを聞かれたら答えられずにはいられない」という助言を受け、無事カジマナと面談を取り付ける。
己のタイプとは全く違うカジマナに里佳は最初戸惑うも、彼女の指示通りバターたっぷりの美食に触れていく。
味蕾が育つように里佳の価値観や容姿は変わる。それを見た親友や恋人との関係も変わっていくが…というのがあらすじ。
最初は男女の距離感やカジマナがメインで進むのかなと思っていたが、どちらかというと里佳と怜子、女同士の絆についてが本題だった。
あとは男性はケアを求めているけれど、同性同士ではし合わず、女性のケアを期待している…という訴えも感じ取った。
自分で好きな選択肢を選びたい、自分で稼いだお金を使いたい。
この当然過ぎる願いを叶える為に近年の女達は頑張ってきた。
有難いと思う気持ちと、それ故に時代の過渡期なのもあり、
今までの役目も全て背負わされているからより不公平になったと思わざるを得ない時もある。
私は割り勘夫婦はいいと思うけど、妊娠出産や介護などのケアをやらせておいて割り勘は話が違うだろうと思う。
そんな男は結婚するなと思うし出来ないと思うけれど、社会で生きる以上こんな考えの人間が上司になる事もあるわけで。
異性には無縁です、で終わらない社会問題だと私は捉えている。
本の話に戻る。里佳は取材の為にカジマナも通っていた本格的な料理教室に通うのだが、
そこで本質的な己の食の好みを知り、身に付けていく。
経済的にだとか色々あるけれど、これが真の意味の「自立」なのではないかと思った。
己を知り、それを認める。
それってただ生きているだけでは辿り着けない領域だ。
社会問題と大人の成長について描いた作品としてとても面白かったと思う。
途中怜子がよくわからん方向に突っ走ったけれど、あのパートは普段自分が下に見て安心している属性の人たちだってプライドはあり、
そのプライドがあるから生きにくい人もいるというのがありありと伝わってきて良かった。
介護施設に行きたくないと拒む祖母の事を思い出してちょっと苦しくなった。
最後に、この本が描く「女性の身体性」について少し触れたい。
本作は、身体的女性ゆえにルッキズムに悩まされたり、妊娠育児とキャリアの板挟みに苦しんだりする描写が非常に多い。
だからこそ、作中で描かれる女同士の絆が胸に刺さる。
生まれ持った身体を知らず知らずのうちに他者から商品として扱われたり、ケアの役割を押し付けられてきた属性としてのリアルな痛み。
現代を生きる女性に、この本のような安全基地が出来るといいなと思った。
3.0819 宮木あや子
喉の奥なら傷ついてもばれない
欠陥を抱えた妻たちが登場する短編集。
家庭内に問題ある子供時代を送っていたので自分はいい親になれるのだろうか、と悩んでいた時期がありました。
結果として完璧は無理でも、悩んでいる時点で一応は向き合えていると捉え直して子供を持とうと思いました。
普段夢女やっているもので、夫についてあまり触れてきてないのですが、私はめちゃくちゃ夫大好きです。
多分親よりも絶対の安心をくれる人だからなんだと思います。
私自身が母になりたいよりも、この人が子供を慈しむところがみたくて、のが決め手かもしれません。
本題に戻りまして、この本に登場する女たちは短編「ろくでなし」を除くと夫と対話が全く出来ていない。会話はあっても、どこか意思が通じ合っていない。
それだけでゾクゾクする不穏感がするのだが、どの女達も目の前の子供や夫より自身の親、特に母親の言葉や生き方に囚われている。
分かる。分かりすぎるんだけど…!やっぱり、その生き方って良くない。
自分からするとトラウマにメスを入れて腹を掻っ捌かれるような話ばかり。
でもこれは荒療治だけど、やってはいけない事なんだと刻む為に必要な処置だと思った。
宮木あや子先生の作品は初めてだったのですが、官能の色が濃いけれどその嬌声が魂と体の叫びとも取れて体の芯から響きます。
発狂直前の女の種子だ。すごく良かった。
4.0824岡田尊司
愛着障害
子供時代、父親との折り合いが悪かったことは何度か書いていますが、それもあって、自分は愛着に何か問題を抱えているんじゃないかなー、、と己を疑っていました。
(私が好きなものを言うとお里が知れるとか、標準体型だったのにデブデブ言われ結果過食に走ったり、絵画で賞を取った時もこんなんで賞を取ったらコイツは付け上がる…などなど)
この本の巻末にチェックテストがついているのですが、不安型強めでと回避型も兼ね備えているエリートでした。終わりだよ。
でも昔よりはかなりマシになっているのを自覚しています。
人の顔色を異常に気にして1人反省会とかめっちゃするのですが、まあ無頓着な奴よりかは良いか!ガハハ!とも思えるようになってきたし
このやたら意味を見出そうとする謎の思考回路も創作で役にたってるしな…と己を認められて来ています。
こう書いているとすごい社交性がないヤバい奴っぽいんですけど
その場の空気や求められている役割を即時に見分けられるので社会生活において浮いている事はないです。(多分)
新人の教育担当を任されることがおおいので近年は「お母さん」のペルソナを被っている事が多いように自覚しています。
本書には愛着障害を持ちながらも改善した偉人や、結局苦しみながら生きた文豪たちの生き様がたくさん載っているのですが、少しだけ勇気づけられましたね。
不器用だからこその視界で私も何かを成し遂げたいです。
あと、めちゃくちゃNG例を知ってるからこそ自身の子育てでも肝に銘じておく…。
5.0829 窪美澄
ふがいない僕は空を見た
窪美澄先生のデビュー作。
今まで先生の作品は何作か読んだ事があったけれど、穏やかな印象を受ける作品が多かったので衝撃だった。一番好きかもー。
連続短編集で、主人公こそ変われど話は続いていく形。
第一話目では、高校生の男の子がオタクイベントで出会った人妻レイヤーとコスプレを伴った不倫を定期的にするようになるのだけれど
同級生といい感じになり不健全な関係を終わらせたいと人妻に告げるのだが…というあらすじ。
高校生の男の子の視点、尚且つ助産師を母に持つという設定だからか新しい生命について肯定的で爛れた関係ながら凄くピュアなお話に感じた。
のに!次の話から作風というか、見える視点が変わりすぎて作画がガラッと変わる。女性向けから青年コミックスかのようだ。
第二話は不倫相手である主婦視点のお話だ。
高校生からすると大人でも、大人同士だと「あの人はやばい」と裏でヒソヒソされているのが察せる未熟な大人なのだ。
だから男の子側の淡い気持ちが、利用されたように感じて私は嫌悪感を抱いた。
不器用な生き方しかできない人だというのはヒシヒシと伝わるけれど!
不穏な終わり方をしたので、お前が始めた物語なのに無責任で他人を不幸にするなー!と思ったけどやっぱり不幸になって
子供を巻き込む大人は一番最悪な人種や…と苦しくなった。
第三話は高校生の男の子といい感じになったにも関わらず、その関係を清算しようとしたのに結果主婦との関係が拗れ、学校に来なくなってしまった男の子を心配する女の子の話。
凄い瑞々しいお話だった。
若い女の子の「好きな人」だからセックスをしたいという情熱が眩しい。
繊細なお兄ちゃんを巻き込んでの一夜は、キャンプファイヤーみたいな暖かさがあって良かったなー。
第四話は男の子の親友のお話。
四話からは性の話よりもヒューマンドラマ味を強く感じた。
好きなはずの友人なのに貶めたい矛盾する気持ちってあるよなあと思った。
立場が近そうに見えて違うっていうのが一番苦しくなるのはとても現実だ。
個人的には、事情や背景を考える余地がある殺人よりも、加害者側の欲求によって他人の身体や尊厳を踏みにじる性犯罪を、この世で一番憎んでいる。
なのでどんなに良い人でもあの人は許せない。
でも、その人に救いを少しでも見出してしまう人もいる訳で。難しい。
五話目は助産師として働く母の話。第一話から登場する男の子の母だ。
大人でも揺れて、成長するんだなあというのを凄く感じた。
「ばかな恋愛したことない人なんて、この世にいるんすかねー」って登場人物の台詞がこの本を、そして恋愛というものの本質をすごく表している気がして感銘を受けた。
一冊で色んな表情を見せる作品なので、めちゃくちゃオススメです。刺さりました。