2026年8月に読んだ本

今月は5冊読みました〜!

8月はまず「愛するということ」を絶対読むぞ!と思っていて

ならもう今月は「愛」がテーマの話を一気に読もうと思ったのでした。

なんか予想外に己のトラウマを刺激する話が多くて、自分語り多めです。スミマセン。

 

 

1.0807  エーリッヒ・フロム著 鈴木晶訳
愛するということ

 

 

難しいけれどなんとなく分かる、そんな本だった。

 

愛というと、性愛や親子愛などが思い浮かぶ。

性愛というと「恋に落ちる」というイメージがある。
または「愛する」となると、そのための相手をガツガツ探したり、振り向かせるために気を引くという印象を受ける。

 

親子愛というと、自然に芽生えるものという認識がある。
確かに今体の中にいるもう一つの生命に対して話したこともないのに愛着がある。

だから「愛すること」に技術が必要とは思わない人が多数だと思う。

 

でも、愛することは学びであり、学ぶ研鑽をしない人は真の学びにたどり着けない。
それと同じこと…と私は読み取ったんだけど合ってるかなー?

 

話の最終的な着地点として「愛」というよりも「愛する為に必要な知性」という印象を受けた。

私は本当の知性とは「盲信的にならない」「白でも黒でもない事に耐えること」なんじゃないかな、と最近のSNSを見ていて特に思う。


自分が両方出来ているかは怪しいけれど、この誠実さを持たないと人を愛する土俵に立つことがまず出来ないのでないかと思う。

また人と接する事で躓いた時や、知性について考えたい時に読み返したいなと思う。

 


2.0816 柚木麻子
BUTTER

 

 

毒婦と呼ばれた木嶋佳苗事件は2009年ごろに起こったらしい。
それでも今でもなお記憶に新しいのは彼女の容姿と振る舞いのせいなのだろうか。

 

彼女をモチーフにしたであろう梶井真奈子(カジマナ)の独占インタビューを狙う週刊誌のライターである里佳。

里佳は親友の怜子から「料理好きはレシピを聞かれたら答えられずにはいられない」という助言を受け、無事カジマナと面談を取り付ける。

己のタイプとは全く違うカジマナに里佳は最初戸惑うも、彼女の指示通りバターたっぷりの美食に触れていく。

 

味蕾が育つように里佳の価値観や容姿は変わる。それを見た親友や恋人との関係も変わっていくが…というのがあらすじ。

 

最初は男女の距離感やカジマナがメインで進むのかなと思っていたが、どちらかというと里佳と怜子、女同士の絆についてが本題だった。

 

あとは男性はケアを求めているけれど、同性同士ではし合わず、女性のケアを期待している…という訴えも感じ取った。

 

自分で好きな選択肢を選びたい、自分で稼いだお金を使いたい。
この当然過ぎる願いを叶える為に近年の女達は頑張ってきた。
有難いと思う気持ちと、それ故に時代の過渡期なのもあり、
今までの役目も全て背負わされているからより不公平になったと思わざるを得ない時もある。

 

私は割り勘夫婦はいいと思うけど、妊娠出産や介護などのケアをやらせておいて割り勘は話が違うだろうと思う。

そんな男は結婚するなと思うし出来ないと思うけれど、社会で生きる以上こんな考えの人間が上司になる事もあるわけで。
異性には無縁です、で終わらない社会問題だと私は捉えている。

 

本の話に戻る。里佳は取材の為にカジマナも通っていた本格的な料理教室に通うのだが、
そこで本質的な己の食の好みを知り、身に付けていく。
経済的にだとか色々あるけれど、これが真の意味の「自立」なのではないかと思った。


己を知り、それを認める。
それってただ生きているだけでは辿り着けない領域だ。

社会問題と大人の成長について描いた作品としてとても面白かったと思う。

 

途中怜子がよくわからん方向に突っ走ったけれど、あのパートは普段自分が下に見て安心している属性の人たちだってプライドはあり、
そのプライドがあるから生きにくい人もいるというのがありありと伝わってきて良かった。
介護施設に行きたくないと拒む祖母の事を思い出してちょっと苦しくなった。

 

最後に、この本が描く「女性の身体性」について少し触れたい。

本作は、身体的女性ゆえにルッキズムに悩まされたり、妊娠育児とキャリアの板挟みに苦しんだりする描写が非常に多い。
だからこそ、作中で描かれる女同士の絆が胸に刺さる。

 

生まれ持った身体を知らず知らずのうちに他者から商品として扱われたり、ケアの役割を押し付けられてきた属性としてのリアルな痛み。

現代を生きる女性に、この本のような安全基地が出来るといいなと思った。

 


3.0819 宮木あや子
喉の奥なら傷ついてもばれない

 

 

欠陥を抱えた妻たちが登場する短編集。

 

家庭内に問題ある子供時代を送っていたので自分はいい親になれるのだろうか、と悩んでいた時期がありました。
結果として完璧は無理でも、悩んでいる時点で一応は向き合えていると捉え直して子供を持とうと思いました。

 

普段夢女やっているもので、夫についてあまり触れてきてないのですが、私はめちゃくちゃ夫大好きです。
多分親よりも絶対の安心をくれる人だからなんだと思います。
私自身が母になりたいよりも、この人が子供を慈しむところがみたくて、のが決め手かもしれません。

 

本題に戻りまして、この本に登場する女たちは短編「ろくでなし」を除くと夫と対話が全く出来ていない。会話はあっても、どこか意思が通じ合っていない。

それだけでゾクゾクする不穏感がするのだが、どの女達も目の前の子供や夫より自身の親、特に母親の言葉や生き方に囚われている。

 

分かる。分かりすぎるんだけど…!やっぱり、その生き方って良くない。


自分からするとトラウマにメスを入れて腹を掻っ捌かれるような話ばかり。
でもこれは荒療治だけど、やってはいけない事なんだと刻む為に必要な処置だと思った。

 

宮木あや子先生の作品は初めてだったのですが、官能の色が濃いけれどその嬌声が魂と体の叫びとも取れて体の芯から響きます。

発狂直前の女の種子だ。すごく良かった。

 


4.0824岡田尊司
愛着障害

 

 

子供時代、父親との折り合いが悪かったことは何度か書いていますが、それもあって、自分は愛着に何か問題を抱えているんじゃないかなー、、と己を疑っていました。

 

(私が好きなものを言うとお里が知れるとか、標準体型だったのにデブデブ言われ結果過食に走ったり、絵画で賞を取った時もこんなんで賞を取ったらコイツは付け上がる…などなど)

 

この本の巻末にチェックテストがついているのですが、不安型強めでと回避型も兼ね備えているエリートでした。終わりだよ。

 

でも昔よりはかなりマシになっているのを自覚しています。
人の顔色を異常に気にして1人反省会とかめっちゃするのですが、まあ無頓着な奴よりかは良いか!ガハハ!とも思えるようになってきたし
このやたら意味を見出そうとする謎の思考回路も創作で役にたってるしな…と己を認められて来ています。

 

こう書いているとすごい社交性がないヤバい奴っぽいんですけど
その場の空気や求められている役割を即時に見分けられるので社会生活において浮いている事はないです。(多分)
新人の教育担当を任されることがおおいので近年は「お母さん」のペルソナを被っている事が多いように自覚しています。

 

本書には愛着障害を持ちながらも改善した偉人や、結局苦しみながら生きた文豪たちの生き様がたくさん載っているのですが、少しだけ勇気づけられましたね。

 

不器用だからこその視界で私も何かを成し遂げたいです。
あと、めちゃくちゃNG例を知ってるからこそ自身の子育てでも肝に銘じておく…。

 


5.0829 窪美澄
ふがいない僕は空を見た

 

 

窪美澄先生のデビュー作。
今まで先生の作品は何作か読んだ事があったけれど、穏やかな印象を受ける作品が多かったので衝撃だった。一番好きかもー。

 

連続短編集で、主人公こそ変われど話は続いていく形。

 

第一話目では、高校生の男の子がオタクイベントで出会った人妻レイヤーとコスプレを伴った不倫を定期的にするようになるのだけれど
同級生といい感じになり不健全な関係を終わらせたいと人妻に告げるのだが…というあらすじ。

 

高校生の男の子の視点、尚且つ助産師を母に持つという設定だからか新しい生命について肯定的で爛れた関係ながら凄くピュアなお話に感じた。

 

のに!次の話から作風というか、見える視点が変わりすぎて作画がガラッと変わる。女性向けから青年コミックスかのようだ。

 

第二話は不倫相手である主婦視点のお話だ。
高校生からすると大人でも、大人同士だと「あの人はやばい」と裏でヒソヒソされているのが察せる未熟な大人なのだ。

 

だから男の子側の淡い気持ちが、利用されたように感じて私は嫌悪感を抱いた。
不器用な生き方しかできない人だというのはヒシヒシと伝わるけれど!

 

不穏な終わり方をしたので、お前が始めた物語なのに無責任で他人を不幸にするなー!と思ったけどやっぱり不幸になって
子供を巻き込む大人は一番最悪な人種や…と苦しくなった。

 

第三話は高校生の男の子といい感じになったにも関わらず、その関係を清算しようとしたのに結果主婦との関係が拗れ、学校に来なくなってしまった男の子を心配する女の子の話。

 

凄い瑞々しいお話だった。
若い女の子の「好きな人」だからセックスをしたいという情熱が眩しい。

繊細なお兄ちゃんを巻き込んでの一夜は、キャンプファイヤーみたいな暖かさがあって良かったなー。

 

第四話は男の子の親友のお話。
四話からは性の話よりもヒューマンドラマ味を強く感じた。
好きなはずの友人なのに貶めたい矛盾する気持ちってあるよなあと思った。
立場が近そうに見えて違うっていうのが一番苦しくなるのはとても現実だ。


個人的には、事情や背景を考える余地がある殺人よりも、加害者側の欲求によって他人の身体や尊厳を踏みにじる性犯罪を、この世で一番憎んでいる。
なのでどんなに良い人でもあの人は許せない。
でも、その人に救いを少しでも見出してしまう人もいる訳で。難しい。

 

五話目は助産師として働く母の話。第一話から登場する男の子の母だ。
大人でも揺れて、成長するんだなあというのを凄く感じた。


「ばかな恋愛したことない人なんて、この世にいるんすかねー」って登場人物の台詞がこの本を、そして恋愛というものの本質をすごく表している気がして感銘を受けた。

 

一冊で色んな表情を見せる作品なので、めちゃくちゃオススメです。刺さりました。

2026年7月に読んだ本

今月は6冊読みました!

数は少ないけれどバランスは良い感じ。

 

いつも本紹介に入る前のこの雑談?スペース何を書けばいいのか悩むのですが

「人と対等に接する」って難しいなという事を最近考えています。


友達と迷いなく言える人間が自分にはとても少ないです。

(私からすると友人なんだけど、相手はそう思ってないかもーとか、
付き合いが浅いのに私が思うよりなんか相手は私の事好きっぽいな?とか色んなパターンがある)
 

大きく分けて自分の中で、対等・見下げる・畏怖・無関心のカテゴリがざっくりあって

好意的でも畏怖があるうちは対等に接するって難しいなー、、、と。そうなると、好きな人ほど畏怖に入って来そう。

 

見下げるという強い言葉を使ってますが、これは自分の正義とか倫理観から大きく逸れている人は一括でコレというか。
そもそも論、私はうっすら人類が嫌いなんだと思います。
でも人の事を好きだから期待してて、いつもなんか無駄に悩んでて、えーい伝われ!
 

…雑すぎるのでもうちょっとこれは詰めて考えてみたいです。

 

 

1.0711 是澤博昭
ものと人間の文化史 人形

 

 

己の創作の参考の為に。
ほぼ西洋人形については触れられていないけれど、その代わりに日本人形がまだヒトガタだった頃からの歴史がかなり詳細に載っている。

本当に制作手順とかではなく日常でどう人々が関わっていたかという文化史メインです。

 

人形は芸術なのか玩具なのか…。最初は曖昧だったが、その両方であるという事が時流の流れで分かる。

 

個人的にアジア圏でこんなに人形文化があるのは日本しかないというのが驚きだった。
そこはオカルトとか信仰とか日本独自のものが確かにあるんだろうなー。

 


2.0716 サガン著 河野万里子訳
悲しみよ こんにちは

 

 

恋多き父と、恋は知っても愛はまだしらない娘親子。
そんな親子と夏のバカンスを過ごす、二人の女と娘の恋人。

 

二人の女は父の妻の座を狙っていて、序盤で元々恋人だった若い魅力に満ちているがちょっと足りていないエルザが負けてしまう。

代わりにアンヌという教養に満ちた知的な美人と父は結婚の約束をする。

 

最初はアンヌの気高いところに好感を持っていた主人公である娘。
でも、アンヌとの暮らしは、自由できままな親子には合わないと時間が経つ度に思い知らされる。

娘はエルザに父を取り戻すようにけしかけるが…。というお話。

 

思いっきりネタバレするが、
自分は愛というものの考え方がアンヌに似ているのでめちゃくちゃ可哀想なんだが、、、!?
悲しみよこんにちは、はアンヌのセリフなんだが、、、!?とキレている。

 

この人だと決めたら、より良い関係や環境を築く為に話し合うべきだと思う。
だからアンヌも付き合うべき人を決めたり、勉強を強制させたけれど、彼女はちゃんと理由を伝えた上でやらせてた。

 

なのに娘も父も裏でコソコソ…。そんなの家族になろうっていうのに不誠実すぎる。


正直にエルザ、一度得た獲物を持っていかれそうなのが悔しい、とアンヌに伝えたらきっと彼女は「馬鹿ね」って目を覚まさせてくれたはず。

でも、それが出来るできないはもう性質なのかな、と思う。

 

mbtiにわかなのでアンチの人もガチの人も怒らないで欲しいんだけど多分アンヌとそれ以外の登場人物の診断は正反対なんじゃないですか?

マジで見えてる世界観が違いすぎて、それがドラマチックなんだろうけれど個人的には苦しさのが優った。

 

夏の海辺や恋が始まる瞬間のある種の気怠さ。
そういった描写はとても美しかったけど、「イイッー!」ってなっている。

 

短めの小説で読みやすいので、大人の恋愛や価値観の合わない人間のすれ違いに興味がある人にはおすすめです。

 


3.0718 ヴィクトール・E・フランクル
夜と霧

 

 

一度は誰でも読むべきと言われている不朽の作品。

ホロコーストの時代、心理学者として働いていた筆者はユダヤ人の為に強制収容されてしまう。本書はそんな筆者から見た記録。

 

いわゆる収容所の残酷で過酷な暮らしについて知りたいならばもっと適切で詳細な本があるとは思う。
どちらかというと想像を超える過酷な暮らしをすると人間はどう変わっていくのか、心の問題をメインに据えている。
(もちろん目を背けたくなるつらい描写も沢山あるが)

 

最初期のそんなに事態は悪くならないだろう…という希望的観測をしてしまう心理。
だからこそ全てを置いていけと言われても結婚指輪は大丈夫ですよね?と聞いてしまう人達。

ここらへんのまだ人の善性を信じている感じと、それを奪い去る暴力に目の前がクラクラした。

 

この本を読んでいて一番自分が響いたのは、辛い雪道を行進する最中伴侶の顔が思い浮かぶ瞬間のエピソード。

近くにいない、もしかしたらもう死んでいるかもしれない人間を一番愛しているのだと思い至る瞬間。
これが愛の境地というか、愛することの幸福ってこういう事なのかと思った。

 

その後の美しい夕焼けや景色で心が慰められるのが、人には体以外にも心の栄養が必要で
希望の光が遠くに薄らとでもあれば人はそこに向かって歩めるというのも、生きる事なのだと学んだ。

 


4.0721 村田天
落ちこぼれ魔法少女の恋愛下剋上

 

 

重めの本が続いていたので明るい恋愛ものを読みたくて…。

 

オビに惚れさせたら私の方が上ってことだよね〜。って書いてあったので
女の子の方が性格悪いけど、男の子と付き合う内に丸くなるタイプの作品なのかなと思っていたのですが
頑張り屋ヒロインと振り回す系天然美青年ものだった。これはこれで可愛い。

 

ライトな文体ですが、メイン二人がなぜああいう性格になったのかというキャラの背後設定が上手くて納得感がありました。

 

魔法界での格式がなぜ重んじられるのとか、貴族と平民の設定とか(希望ヶ峰学園すぎる)
意外と社会派(?)な側面もあって面白かったです。

 


5.0724 山口慎太郎
「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実

 

 

まんまサブタイトルの通りの本。
いわゆる育児神話などをデータ的に分析し、どこまで効果があるのかをまとめている。

 

わりと普通に生きていて「当たり前」な事がやっぱりデータとして上がってくるのだけれど、主観と客観はやはり違うので読んで良かったと思う。

 

2019年の本なので男性の育児休暇などに関してはちょっと令和の常識からずれている。
個人的にはちゃんと育児をする男性なら産後の体が一番しんどい時くらいは妻を休ませてくれーと思うけれど、半年とかはどうなんだろう…仕事戻りづらいとかあるのかな。

 

自分は妊娠してから現在二ヶ月ほどニートをしている。
まだ今なら普通に明日からまた業務に戻れそうではあるけど…。人によるよなあ。
子供がいる生活を送ってからの一年後は流石にちょっと、あやしい、かも。
なので本当に世の働くお母さん方は凄い。

 


6.0731 江戸川乱歩
江戸川乱歩名作選

 

 

収録作品は
「石榴」「押絵と旅する男」「目羅博士」「人でなしの恋」「白昼夢」「踊る一寸法師」「陰獣」。

 

同じく新潮文庫から出ている傑作選を読んでから読んだ方が面白い作品があるので、傑作選を読んでからの方がおすすめ。

 

石榴での男女の情交描写にめちゃくちゃ性癖出てますよ!乱歩さん!良いんですか!?!?って思ってたら
畳み掛けるように陰獣でも湿度高い被虐趣味の幸薄女が出て来て笑ってしまったけど、
これ先に石榴を読むことになるからとある先入観があって引っ掛かるトリックがあるというか。

ド変態でありつつ、重厚な推理小説を楽しめて楽しい。

 

また幻想小説、人ではない美に魅入られて現世がどうでも良くなる退廃主義として押絵と旅する男、人でなしの恋もめちゃくちゃ良かった〜。

 

無機物だけれど、触ると手垢でその肉感が育つ人形というモチーフが耽美としてやっぱり好きだ、、、。物によっては触ると美が失われるというところも良い。
人でなし、がダブルミーニングなのも洒落てます。

2026年6月に読んだ本

今月は5冊読みました〜!

少ないけれどバラエティ豊かな気がする。

 

夏本番なのでしばらくは図書館ではなく自前の積読を崩していきたい所存。

机の一角の一軍山がそろそろ崩壊しそう。(買う速度に読む速度が追いつかない)

 

 

1.0604 ハン・ガン著 きむ ふな訳
菜食主義者

 

 

妻が夢を見たからと、急に冷蔵庫内の肉を捨て始め野菜しか食べなくなる。

 

正直作中三部作すべて通して読んでも妻であるヨンヘが何故菜食主義者になったのかはよく分からない。

ただ、夫や父から求められていた女としての社会像に嫌気が差していて、植物としてそこにあるだけになりたいというのは分かる。

押し付けられる生と性、どちらも「肉」を連想させて受け入れ難いのかな?

 

二章で植物に扮してからはヨンヘはセックスを受け入れる。
それは交尾だからではなく、蔓同士が絡み合う繁殖だと彼女の中では定義されたのかな?

 

社会的な眼差しの中で、「正常」とされる範囲って狭いよなとこの本を読んで改めて思った。

ノーブラのエピソードだったり、一度精神が病んでいると判断された人間の同意だったり。
個人の願望が社会と同じ方向を向いているとは限らない訳で。

 

淡々とした静かで客観的な文章だったからこそ、ヨンヘの魂の弱さと強い執着が伝わり忘れられない作品になりそうです。

 


2.0609 飯田一史
町の本屋はいかにしてつぶれてきたか

 

 

本屋で働いていると、なんでこんな非効率的な事をやらなきゃいけないんだ?という事が多々ある。

 

お客様という立場の時は、取り寄せは異常に遅いやら入荷するか分かんないとか意味不明だったのだが、業界の構造故の闇があるというか…。

 

知ってますか?基本的に本屋さんの本って問屋さんが一方的に決めて送ってくるんです。
売れ行きのデータなどで勝手に決められるので発売直前に予約されても確約できないのはこのためです。

 

その業界の仕組みがどういう流れで決まったのかを詳しく振り返る、出版業界の歴史書です。

 

個人的に本屋は本だけ置いてあるお店の方が好きなんですが、利益率の問題などで難しい事などが説明されています。

これからの書店業界について考えてみたい方は是非読んでみて欲しいです。

 

…でも正直、業界の人間以外はこの本から読んでも意味不明⭐️かもしれないので

本屋の一日をカジュアルに知りたい人はこちらの漫画がおすすめです!

 

 

 

 

ちょっと古い本だけど大きくは仕事内容変わってないのが、闇

 


3.0612 頭木弘樹
口の立つやつが勝つってことでいいのか

 

 

「絶望名人カフカの人生論」を編集した文学紹介者さんのエッセイ集。

 

本のタイトル的にレスバすんぞ!オラ!みたいな感じなのかしらと思ったけど、結論を急いで出そうとしないすごく優しいエッセイだった。

 

さらに言えば考え方や見え方が斬新だと思った。

能力が高い人間が評価されるのは当然だけれど、顔が良いからで評価するのは生まれ持ってのものがあるから大っぴらにするのは良くないという価値観がある。

でも、能力で人を評価するのは当たり前、という事に疑問を持たないのは不思議だなというテーマに目から鱗だった。

 

能力が高い人や頑張っている人を評価しないとその人達は腐ってしまう。
でも、能力差というものは確かに不平等だよなとも思う。頑張りで埋められるものばかりではないし…。

 

人と接する時、自分では見えていないものを意識する。それだけで人は人に親切に出来る。

当たり前っちゃ当たり前なのだけれど、自分という物差しを絶対としちゃっているなと凄い反省しました。

 

カフカと少女と人形のエピソードとか、夫が死んだ日の事を毎日語る先生のエピソードとか、失う事を受け入れるでもなく、ただ続きを生きていくという話がなんか、凄い生きていくってこういう事だよなって思った。


ちょうど良い語彙が無いので是非読んで欲しいな…。

 

 

4.0624 村山由佳
海を抱くBAD KIDS

 

 

普段、高校生同士の恋愛ものというか、
推しの一人が高校生なので彼の夢小説を書くと必然的にそういうシチュエーションの話を書く事が多いです。

 

そんな中、同担さんに先日おすすめされたのがこちらの本です。

 

間違いなくジャンルとしては青春小説なんだけれど、主人公とヒロインの結び付きが必然性しかなくて、重たい。

 

愛には色んな種類があって、人によっては性愛を伴うとなると必要としていないどころか苦痛だという人もいるだろう。

 

私個人としては愛と性愛は繋がっているという考えなので
(純粋な快楽という側面もあるけど、好きな人の肌は落ち着くだとか、お互いしか知らない一面を知れるとか、体だけの問題ではないと思う)

村山由佳先生の必然性のある性描写と、その後の感情のゆらめきの描写がすごく参考になりました。

 

主人公の恵理は自分の体の衝動を抑えられない女子高生。
まだ自立していない立場だから優等生キャラの役割を学校でも家でもしているが、演じているものと己の本質のギャップに大きく悩んでいる。

 

一度性体験さえすれば本当に求めているのか分かるかも知れないと試しに売春行為をするも、求めていたものとは全然違った恵理。

 

同性の親友とのキスではドキドキしたから相手によるのだろうかと途方に暮れていたところ、地元から離れた場所でウリをしていたにも関わらず、現場を同級生の光秀に見られてしまう。

 

口止めの為!といいつつ、内心また違う人間となら感じ方は違うかも知れないとセックスを迫る恵理。

光秀はウリとはまた違う何かしらの事情があると察して恵理との関係を断ろうとするも、
性に貪欲な恵理との交接にのめり込んでしまう。

 

体だけの関係だったのに、弱みを見せられる相手が互いにしかいなかった二人が
周囲での出来事に巻き込まれる内にどんどん相手を拠り所にしていく感じが、
まだ狭い世界に留まるしかない学生の弱さと強さを感じて凄く良かった…。

 

関係の始まりが最悪だからこそお互いの事を話さないという暗黙のルールがあったにも関わらず、
言葉がなくてもいつもと違う表情で分かっちゃうのとか、これが肌馴染む事だなーって、、、。

 

光秀のお父さんのエピソードや、都ちゃんのお話も一登場人物を深掘りする為に良かった。
都ちゃんの話がまた別に本になってるっぽいからそれも読みたいです。

 

↑みたいにいい話ではないけれど、そりの合わない先輩の悪い誘いを断れない光秀のエピソードが凄く本質を突いていた気がして、それも良かったです。

 

いやー、読んでいて「つながること」という意味を再確認した気がします。
素敵な本を教えてくださった同担さんに感謝です。

 


5.0629 グアダルーペ・ネッテル著 宇野和美訳
赤い魚の夫婦

 

 

インターネット上で初めて話すのですが、私は今生まれて初めての妊娠をしています。

毎日、体調が違う。昨日食べれたものが食べれない。
自分の体なのに、どうしたいのか分からない。そういう暮らしをしている。

 

なので妊娠や親になることをテーマにした短編も入っていると言うことで手に取った訳である。

 

表題作の赤い魚の夫婦は妊娠中の生活からなんとなく不穏が立ち込めている。
妊婦がオレンジを食べたいと言ったら黙ってオレンジ買ってこいやと今の体調的に思う。

(買ってきてくれる我が家族には感謝しかない。冗談だと通じない人もいそうなので一応)

 

そんなぎくしゃくしている夫婦と同居しているのはつがいの闘魚である。
闘魚はなわばり争いをする気性の荒い鑑賞魚である。

 

魚たちとリンクするように、夫婦は争っては離れる。

 

夫の言葉である
「もっと狭い水槽でだってのびのびと過ごせる魚もいるのにな。そういう魚なら、日差しにあふれる明るい宇宙にいるみたいに、金魚鉢の生活を楽しむだろうに。だけど闘魚は、どんなに大きな水槽でも窮屈で、パートナーにさえ脅かされているかのように感じる。相手の存在がプレッシャーになる〜」(35p引用)


ってのがその後の妻の返しも合わせて秀逸である。
「ドラマチックよね」「だってこの魚たちは愛しあっているのに、いっしょに暮らしていけないんだもの」(35p引用)

 

楽しくはないし、後味も良くないけれど、スッと自然に入ってくる不思議。
魚を選ぶという行為を経て上位存在のような視点で関係を俯瞰する構成がすごい。

 

ゴミ箱の中の戦争に登場する生き物はゴキブリだ。

 

夫婦喧嘩で裕福な叔母のところに預けられた主人公。
最初は馴染めなかったけれど、女中親子と仲を深めていく内にゴキブリが大量発生する。


その退治の仕方が衝撃的なんだけれど、虫に対する関わり方が人間に対しても因果応報というか返ってくるという考え方がなんか儒教の教え?っぽい。

 

牝猫はタイトルの通り二匹の猫が登場する。

発情期に苦しむ牝猫を病院に連れていくも、避妊手術を勧められてそれを人間が決めていい訳ないと反発する主人公。
その後主人公も予期せぬ妊娠をするのだが…。っていう話。

 

猫という生き物の性質がとても出ていて良かった。
人間の思い通りにはいかない自由気ままさがやっぱり好き。

 

メリバというか、人間の駄目な所がバリバリに出る作品が好きなので菌類という短編が個人的に一番好きだった。

 

浮気相手から貰った性病で繋がりを感じてしまうどうしようもなさが良かった。

惹かれる理由やあそこでああだったらという自覚する理性の描写も生々しい。
でも周りの人を不幸にするタイプの浮気はダメ絶対。

 

北京の蛇も、置いてきた恋心に未練たらたらの父親と、己の写し鏡になるように恋仲を引き裂かれた蛇のお話。

 

最初ルーツを辿るような話になると思ったからこの着地点は意外だった。

それでも静かに狂っていく父親と、いつもが戻って来ることを信じている母親、そして無理矢理にでも終わらせる事を約束させられた主人公の立場がどれも分かる。

 

どの話も言葉を話さない隣人たちが、時によっては離れ、寄り添ってくれれる。

2026年5月に読んだ本

5月はあまり体調が良くなくてあまり本が読めませんでした…4冊…😭

 

図書館の予約本が沢山あるので6月こそ沢山読めるといいなぁ〜。

 

 

 

1.0510 宇都宮直子
渇愛 頂き女子りりちゃん

 

 

 

ホスト狂い。それでいて、女性経験が少ないおぢに色恋営業をしてお金を騙し取る、頂き行為を世に知らしめたりりちゃんのノンフィクションルポルタージュ。

 

世の中にはホスト以外にもマチアプとかもあるけれど、いきなり知らない人と恋愛するのに私はとても抵抗がある。

 

だから、正直騙すのも騙されるのも、私には理解出来ない。

でもまあ正直そうなってしまう人間心理には興味がある。野次馬である。

 

ニュースを始めて知った時もだし、このルポに載っている被害者のインタビューを読んだ上でも、個人的な所感としては客観的な目を極端に持っていないおぢ側が不思議だった。

 

けれど、生活基盤を失ってしまう程の金額を巻き上げた事や、詐欺を拡散するようなマニュアルの販売は明確にりりちゃんが悪いと思う。

 

でも普通は年齢や容姿の釣り合い、一度だけならともかく、短期間の間に何度も何度もお金をせびる女の子なんか、普通は怪しむ。

 

でも私のこの考えは割と男性嫌悪由来のものらしいとネットで様々な意見に触れて思う。

(個人的な話をすると、親しくなった男性には偏見はないけれど、痴漢行為やしつこい付き纏いなど、女だからこそ嫌な思いを経験したのは根深く、警戒心は常にある)

 

女性はおぢもいい思いをした癖にって考えの人も多いけど、
被害者と同性の男性は明確に「詐欺だ!犯罪だ!懲役8年も妥当だ!」みたいな人も多い。

 

突き詰めると、りりちゃんが悪いのは間違いない。
じゃあなんであんな凶行を、、?または、おぢは騙されたの?って話になるわけだ。

 

りりちゃんの話を聞くと、家庭環境が複雑で愛に飢えている事が分かる。
多分、おぢ側も愛に飢えているから引っ掛かる訳で。


社会において健全に生きる事って、難しい。一人でどうにか出来る問題ではないから、尚更だ。

 

インタビューをする著者がどんどんりりちゃんに絆されておかしくなる経過も恐ろしく、
(著者は女性だが、りりちゃんに特別扱いをされてどんどん当初の取材目的からズレていき、異常なまでに彼女に肩入れする場面がある)
色恋営業や人間の欲求を深く知りたい人にはオススメの本。

 

多分合わせて柚木麻子先生のBUTTERを読むべきなのかなと思うので、読む。

 

 


2.0513 灰谷魚
レモネードに彗星

 

 

 

SNSでめちゃくちゃ独特の雰囲気を褒めている方がいて気になっていた。

 

いや面白かったー。小説とはいっても、noteが初掲載だったらしく、それ故か語彙や雰囲気が良い意味で軽やかかつディープで好き。

 

様々なタイプの小説が載っているけど、SFっぽい雰囲気のお話が多かったかな?

 

嫌いなものが同じ女の子達が、「好き」は秘密のまま「嫌い」だけで仲を深めた結果、
歪んだ友情関係が維持出来なくなり、また違う関係になっていく「純粋個性批判」はルサンチマンが効いていて、とても良い百合。

 

性的な関係とかは全くないけれど、いつも憎いあいつが脳裏にいるのって、湿度高くて良い。

 

「新しい孤独の様式」は性愛抜きで一緒にいてほしいというパートナーとの関係の話。


男側は我慢出来ない訳ではないけれど、それをどうしても寂しく感じている。
そんな男の前に、電子仕掛けの安息の娼婦(と書いて幻惑セクサロイドと読ませたい)が登場して、、、?

 

好きな女と事情があって付き合えないから、勝手に女の人工知能作ってエロい事する小説を書いたことがあるので、妙な親近感を勝手に抱きました。

 

個人的に愛というものは性抜きでも成り立つとは思う。愛し合う二人が納得してるか否かの話でしかないと思う。
だから、オチはとても好みでした。

 

他に短めのお話も入っているけど、宇宙人がいる!とかスカートの話はシュールだけど青春でいいなぁ。


かいぶつの話とかレモネードに彗星はオシャレで今風の星新一みを感じた。

 

どのお話も総じて好みでした。良い作家さんを発掘してしまった。

 

 


3.0517 本谷有希子
異類婚姻譚

 

 

 

夫婦という関係は奇妙である。
そこに愛があったりなかったり、利害が一致したりしなかったり。

 

この作品は妻の方が、だんだんと自分の顔が夫の顔に似てきている事に気付いたのをきっかけに夫との関係を今一度考える話。

 

一緒にいると夫婦だけではなく友人などでも顔や雰囲気が似てくるものだけれど、それを良い事と捉えない視点が鋭い。

 

ファンタジーなんだけれど、なぜ夫婦としてやれているのかという理由は残酷なほどにリアル。

 

表題作の他にも家族をテーマにした短編が入ってるけれど、どれも教訓寓話のように感じた。

 

家族ってどんどん似て行くものだけれど、短所が近いってのは、理解し合えるものなのか、それともお互い様にはならず破滅を迎えるものなのか。

 

 


4.0528 パク・ソンス著 松原佳澄訳
韓国式ストーリーのつくりかた

 

 

 

小説の創作教本なのかなって思ったけれど、ドラマの脚本を書くための教本でした。
でも共通する事は沢山あるのでかなり参考になりました!

 

文章(小説)の書き方はある程度分かっていて、主人公や登場人物の動かし方、場面のメリハリなどを学びたい方に凄いいいかも。

 

性格を立方体にした時、表面として見えるところと、実在するけど見えづらい面を考えるっていうのは、キャラを魅力的にする対策として直ぐに実行出来そう。

 

令和におけるドーパミン中毒というか続けて見させるエンタメについても書かれていて今時。

 

今私がかなり悩んでいる、初稿後の修正作業についてもかなりのページ数が割かれていてありがたい。
客観的になるのって難しいので、、、。

 

一箇所だけかなり熱が入るのではなく、全体を通した心地よいテンポを意識したいねッ〜!
あと予定調和になり過ぎるのもエンタメしてないというのも刻んでおこう…。

 

2026年4月に読んだ本

今月は5冊読みました〜!

 

勉強系と癖が強いお話が多くてあまり読めなかったけれど、どれも面白かった。

 

人に勧め難いけれど、今月は両膝を怪我したわたしの聖女が一番刺さったかも。

文体も特徴的だったけど、幼さゆえの突拍子もなさって最高にクレイジーでピュアだなあと。

 

 

1.0412 鶴見太郎
ユダヤ人の歴史

 

 

 

現代の世界情勢を知るためと、夜と霧をいい加減読もうと思っていて、前提知識が自分には足りないなーと思い読みました。

 

知りたいと思っていた事は知れたと思うけれど、もうちょっとライトな世界史かパレスチナの本を挟むべきだったかもしれない。

 

いろんな国に移動しては、国や年代で立場が全然違かったりするので併せて大まかな地域の歴史も振り返る必要を感じ、自分にはちょっと難しかった。

 

私は日本生まれ日本育ちで、三代前から確実に日本人というわかりやすいルーツを持っているので間違いなく自分のことを「日本人」と言える。

 

でも祖国がなかったり、自分の先代が宗教を状況に合わせて変えたりしていたらアイデンティティというものが確立しえないのかな?とか
改めて国と宗教、そして人種、なにが揃えば何人として認められるの?とか考えた。

 

例えばだけど、職場に海外ルーツの日本人の方がいる。
その方はめちゃくちゃ日本のオタク文化が大好きで、私はその人の事をめちゃくちゃ日本人だなと思う。
(けれど、本人がそう見られたいのか?という問いもここに来て出てきた、難しい)

 

何を持って人は自分のアイデンティティを決めるのだろうか。
愛国心や信仰心だろうか?

それじゃあ△△系〇〇人の場合は△△と〇〇の国の両方の性質を持っている事もあるのかもしれない。

ユダヤ人はユダヤ教に誇りを持っているからこそユダヤ人なのであると学んだように。

 

私だけじゃなくて世界もそこは曖昧だからこそ国際社会は難しいのかな。

 

私は日本人だから分かんない!じゃなくて、分からないからこそ知らなきゃなと思いました。

 

 


2.0418 犬怪寅日子
羊式型人間模擬機

 

 

早川SFコンテスト大賞作品。
どちらかというとSFというより幻想小説というジャンルだと思う。

 

男性のみが死の間際に羊に姿を変える血族の、俗世とは掛け離れたふわふわとした美しい暮らしを描いた作品。

 

150Pというやや短めな作品にも関わらず、登場人物が多く少しばかり混乱したけれど、
誰か特定の人間にフォーカスするというよりも、この呪縛を受け入れる一族の連なりを描きたいというのを強く感じて結果面白かった。

 

なぜ男性だけが、とか家の外は普通の世界っぽいのに何故この人達だけ、とか考察出来そうな所は沢山あるけれど、この作品のキモはそこじゃないと思う。

 

この閉じられた世界で美しく生きる一族と永遠の命を持って寄り添うアンドロイドの、完全には繋がり合えない関係がぬるくて、でもそれ故に優しい。

 

癖のある文章も楽しく、更には仕掛けがあって面白かった。

 

 


3.0423 チェ・テソプ著 小山内園子・すんみ訳
韓国、男子 その困難さの感情史

 

 

私には韓国ルーツの推しがいる。(二次元だけど)
舞台設定的にそこまで韓国要素がある訳ではないけれど、出身地なりの特色があるならば知りたいと思うのがオタクである。

 

現代を生きる韓国人男性の一思想を学びたいと思い手に取った。

 

本作は韓国における男性学とフェミニズムの本だった。
だから、自分が想像していた内容とは正直ズレていた。

 

でも読んでいてタメにはなった。
国が変わっても、「女の癖に何故俺を相手にしない!」っていう極端な思想はあって、
その思想の出所は社会が上手く回らなかった時、立場の弱い女性に責任を押し付ける構造があるというのはなんだか身に覚えがある。

 

だから韓国のフェミニズムに共感を覚える女性が日本では多いのだろうか。

 

今、時代はめまぐるしく変化している。
今まで尊ばれていた価値観が、化石になったり、価値観そのものは素晴らしくても実現が多くの人には不可能だったり。

 

理想との乖離が人々からゆとりを奪って、男女論とか荒れがちなのかな…と常々思う。

 

どちらかが、一方的にダメなのではないと思う。
男も女もそれぞれにしか出来ないことがあり、逆に性別で狭められる選択がどんどん減っていくといいなと思う。

 

でもやっぱり、女に生まれたので意思決定の場に一番社会的に弱い育児や介護で働けない女性の声とかが反映されるようになって欲しいとは思う…。

 

優先や強制しろという意見ではない。

ただ、社会において存在しない扱いになっているのが解せないという話。

 

これを傲慢だと思うなら、やっぱり社会自体が病んでるのではないかと私は思う。

 

 


4.0425 ジョシュ・カーター サミュエル・ギアリング キューガーデン著 上原ゆうこ訳
香りと香水の植物百科図鑑

 

 

 

猫を飼い始めてからつける機会はめっきり減ったけれど、香りものが好きです。
イランイランやジャスミン、ココナッツなどの甘くて重い匂いが特に好きです🥥

 

香水の原材料となる植物の簡易的な説明と歴史、代表的な香水がまとまっている図鑑。

 

デーン!と幻想的で精緻な植物絵画が1pまるまる使って載っているのが良い。

どちらかというと調香師に興味がある人向けかな?香水自体の深掘りは控えめ。

 

あまり香水のイメージのない植物が、実は繋ぎとして使われているとか小ネタが知れて良かったな。

 

 


5.0430 アンドレア・アブレウ著 村岡直子・五十嵐絢音訳
両膝を怪我したわたしの聖女

 

 

 

装画と決壊する文体という帯を見て、繊細な感じの百合作品なのかなと思っていた。

書き出しから拒食症特有の吐きダコの話も出てくるし…。
おセンチでダークでキッチュな少女愛の話かな…って。

 

あらすじは結構破天荒でイカついわと思っていたけど。まさかなと。まさかだった。
どちらかというと破天荒の中心にある、繊細さを見出す感じだと思う。

 

スペインのカナリア諸島に暮らす10歳の少女わたしとイソラの夏休み。
何もない島でだし、大人たちは構ってくれない。
だからか二人は猥雑で乱暴で不潔な遊びに耽っている。

 

行動力があって、情けないけど可愛げのあるイソラにわたしは憧れている。
けれど、イソラの価値観や行動についていけない時もあって、
そういう時に、付き合う人を選べない子供特有の狭い世界を思い出す。

 

正直、島特有の文化?だったり、なんでそんなにうんこが落ちてるのかだとか、引っ掛かる事も多く、読み易いとは言い難い本だ。

 

猿かな?ってくらい自慰しまくるし、性的じゃないとはいえ意味不明排便ムーブとかめちゃくちゃ人に進めづらい。

 

でも、子供の時だからこそ何故かすんなりと異常行動を受け入れる気持ちと、
これは違うと思った時の拒絶反応の反発が美しい作品なのだと思う。

 

 

来月こそは夜と霧を読みたい気持ちがあるのですが、ここに来て図書館予約本のラッシュが!

たくさん読めるといいなぁ〜。

2026年3月に読んだ本

今月は5冊読みました〜。

ちょっと少ないけど話題作と前から読みたかった本を読めて良かったな。

 

八本脚の蝶に関しては140字では言いたいことが伝わらない所か、失礼になったらどうしよう…と思い読了ツイートしなかったのですが

美学とか、己の中のルサンチマンだったり、そもそも生きることとか、めちゃくちゃ考えることがあって本当に読んで良かったなと思いました。

 

 

1.0305 小野美由紀
ピュア

 

 

「性」をテーマにしたsf短編集。

 

どんな時代どんな環境でも人は性というものに少なからず振り回されていると改めて実感した。

それこそ当人に性欲や性別がなくても、世界はどうしてもある事を前提に回っている。

 

表題作のピュアは女性がティラノサウルスのような姿になり、受精のためには男を食べなきゃいけなくなった世界。


武力という点において、まんま現実のミラーリングなわけだが、結局は支配する側とされる側の話なんだな…と思う。

 

設定的にみんな動物めいた本能で生きているけど、その中でも見つけた守りたいものの描写がとても良かったです。

 

身体の性の部分を構成する遺伝子だけをまるっと変える手術がある時代を描いた「バースデー」も好き。

 

個人的に別に女の子同士でも恋愛関係になるのではと思うけれど、本人達は幸せになれそうでよかった。

 

あり得ない技術だけど、これがあれば筋肉量だとかも変わるのでいわゆる現代で起きているジェンダー問題も少なくなりそうだとは思った。

 

この話は女→男だから簡単に受け入れられたけど、その逆となると私の場合はまだ身構えてしまう。
それは現代では性犯罪と切り離せないからなのかな、、、。


妊娠出産も出来るとなればまた気持ちも変わるのかなとか、
自分の中での性はやはり強者と弱者の分かれ目なのかな、とかフィクションだからこそ色々と考えた。

 

「身体を売ること」も義体化する事が普通の世界で、自分の生身の身体がどう扱われるのかを知るお話なんだけど、とても良い。

 

どんなに金があっても肉体的に弱いもの達が百合というかシスターフッド的絆を結ぶのが良い。
美少女と頭モニター系少女のカップリング、性癖にブッ刺さる。

 

 


2.0314 アンディ・ウィアー著 小野田和子訳
プロジェクト・ヘイル・メアリー 上

 

 

SFを読んでも、どちらかというとそれはエッセンスであり、特定の人物や人類に変化があってその心情を描くのがメインな事が多かった。


なのでガッツリSFすぎてめちゃくちゃ読むの遅かった…。

 

難易度?としては中学理科も怪しい自分が、そういうものなんだな!と読み進められる程度です。
なので敷居は結構低いんじゃないかなと思います。

 

読んでいる途中、ウィキッド2を映画館で観ようとしたら予告で盛大にネタバレかまされたので注意です。

 

この作品を面白いと思うか否かで自分のSF適性が分かりそうではある。
今の所面白いけど、続きが気になり過ぎて一気読みでした!ってツイートを見ては懐疑的なので多分あんまり適正ないんだろうな…()

 

下巻も続けて読んでいきます!

 

 


3.0318 アンディ・ウィアー著 小野田和子訳
プロジェクト・ヘイル・メアリー 下

 

 

上巻で読む調子を掴めたみたいで下巻は比較的スイスイ読めました。

 

なによりネタバレになるからあれだけど、上巻の終盤からかなりイベント続きで楽しい。

 

宇宙パートと地球での前日譚パート、かなり頻繁に入れ替わる独特の構成なのですが
内心少しだけ(だるいなー)と思っていたのですが、作者がやりたかった事にまんまと乗せられた。やられたー!

 

オチも想像とは違うけれど、あの主人公だしなという納得感のあるものでよかったです。

 

がっつりSFというか理科理科してるシーンは、正直なところ楽しいよりも??が勝っていましたが、
身近な人体を例えに使った改良だとかの話だとかは想像が容易く純粋にワクワクしました。

 

私はオカルトが好きなのですが、その魅力の一端として「未知」である事はあると思うんですね。


勉強ってなると身構えてしまいますが、もしかしたら宇宙もその枠になり得るのかなとも思いました。

 

宇宙!って感じの王道SFを読みたい方はやっぱり映画の予告に触れてしまう前に読み切って頂きたい。
↑でもすこし触れたけど叙述トリックの要素もあります。

 

 


4.0327 二階堂奥歯
八本脚の蝶

 

 

 

とんでもない量を読む、読書狂でものがたりを守る人。そして、25歳で自死を選んだ。
そんな女性の日記です。

 

読んでいて、私は絶対にこの領域に辿り着けない人間だーとヒシヒシ思い知らされ、辛い気持ちになりました。

 

読むだけなら誰でも出来るかもしれない。
でもそれを自分の中に取り入れて、再構成して、考えては問いを投げる。

なんていうか、こんなに本を読んでいるのに何かしらの答えに着地させず、既存の言葉に収めようとせず、ずっと考えているのが窺えて。

 

外野からの安っぽい寄り添いなんか要る訳ないけど、本当にいっぱいだったんだろうな、って。


でも、この人が選んだ言葉を複雑になりつつある現代でこそ知りたかったって。

 

彼女の文章だけしか知らない。でも魅力的な人なのはそれだけで充分に伝わる。

だから彼女がまもりたいと思ったものがたりを少しずつ私も読みたいなと思います。

 

彼女はものすごい読書家なので、ブックリストとしても存分に活用させて貰います。

こうやって遺して頂いたことに感謝するしか出来ませんが、一読書好きとして尊敬するばかりです。

 

 


5.0331 オレンジ文庫編集部
短編小説新人賞アンソロジー

 

 

 

小説に関しては、今の所二次創作しかしていないけれど、結構長いことやっています。

 

自分がどれくらい書けるのか客観的に知りたくて、最近は賞というものにチャレンジしたく思っている。
(二次創作では原作が人気だったり有名だったりで実力以上の評価されがち)

 

このアンソロジーはオレンジ文庫短編小説新人賞の歴代受賞作で構成されています。

 

一作あたり原稿用紙25〜30枚なので文字数にすると12000字くらい。

だいたい、軽く世界観や話の背景を説明し、メインの語り手の問題を綺麗に一つだけ解決出来るかなくらいの文章量です。

 

読んだ感想としては総じて、短くても起承転結になっている作品が多い。

 

また転で終わっている作品もあるけど、そこは圧倒的な筆力での余韻をくらえ!で黙らせてくるからすごい。

 

短いからこその作者の性癖を感じるのも良かった。まさにオレンジ文庫っぽい。

私もいわゆる、太陽みたいな男らしい男×困り眉ってかんじの傾国の美女の組み合わせ好きです。
たくましい胸板にしなだれかかる曲線が耽美で良いんですかね?

 

一般小説的なテーマの作品も凄く良かった。
佐原ひかり先生の作品が元々好きでどんなテーマを扱われたんだろうって思ったけど、
先生らしい登場人物たちの若い感受性を生々しく書かれていて良かった。

 

これから小説を書きたい、中でも短編小説の書き方を知りたい人におすすめです。

三浦しをん先生と編集部の簡単なコメントが載っているのもいい。

2026年2月に読んだ本

2月に読んだ本は7冊でした〜!

今月読んだ本は自分の価値観を今一度紐解く事になるような考えさせられる本が多かったです。

 

もっと文章が上手くなりたい!から読書の旅を続けているのですが

やっぱりいろんな本を読むうちに自分の中のモヤモヤを文章にしていずれは試してみたいなーという気持ちが募ります。

 

今は長年やっている夢小説の連載を完結させる事がかなり優先度高いので、二次創作しつつ自分の中であっためておきたいですね。

 

 

1.0203 廣田龍平
ネット怪談の民俗学

 

 

オカルトやらUMAやらホラーが好きだ。

でも正直ネット上の怪談やSCPはあまり惹かれない。

 

多分これはネタや創作物なんだろう、みたいに思ってしまって想像の余地とか実存性のロマンみたいなものが個人的に感じられないからかな、と思う。

 

だから創作物に民俗学?って割と冷めた眼差しでこの本を手に取ったのだけれど、
時代的に皆が共通して観ていたものや得た経験、一種の集団心理は確かに怪談に通じる伝説なりえるのかもしれない。

 

年代が進むにつれて、倫理観がアップデートして因習村だとか結果的に差別的になりそうな話が出にくくなっているというのは納得と共にフィクションとしてのバリエーションが減って少し残念な気がする。
(この場合田舎は遅れている、常識がないみたいな差別)

 

差別は良くないけれど、有り得そうなスポットやシーンがどんどん均一化されていく世界で無くなっていくのは一オカルトマニアとして悲しみ、、

 

スマホの登場で気軽に実況が出来るようになったり、ホラーの現場は目まぐるしい変化を遂げている。

通信環境はもうほぼ完成されているといっても過言では無さそうだけれど、今後どんな話が出てくるのだろう。楽しみだね。

 

 


2.0204 坂口安吾著 しきみ絵
桜の森の満開の下

 

 

野蛮な男が美しくも怪しい女にぼおっとさせられて、どんな残虐な願いでもただひたすらに叶えていく。

 

↑こういうシチュエーション大好きなのでご機嫌です。

 

色んな解釈が出来る濁し方というか終わり方が幻想的で良かったけれど、
女の正体は人食い鬼、と見せかけておそらく桜の森自体に漂う妖力の化身化…なのかな?

 

前半の桜に惑わされて狂ってしまう姿と、彼女が側にいる事で狂い己の空虚に気づいてしまう姿が重なるので。

 

首遊びをする描写とか、悍ましいけれど綺麗で好き。
それでいて首でお人形遊びする時、あるあるな人間ドラマを描いていたのが、
超常的なものから見た人間の小ささや退屈さを感じて良い。

 

挿絵も可愛かったです。明るい春の陽射しの下より、夜桜の方がやっぱり異世界みを感じて好きです。

 

 


3.0210 西加奈子
ふくわらい

 

 

女性性やルッキズムについて参考になる本を教えてほしいってAIに聞いたら勧められた本。

 

めちゃくちゃ良かったのですが、全然求めてたテーマと違った。凄く人間賛歌なお話だった。

 

チャットgptさんよ〜!?
でも面白い本を勧めてくれてありがとね。

 

特殊な育ちをしてきた主人公が、世間一般的に風変わりと呼ばれる人達とナマの会話をする事で、視野が広がるお話です。

 

こうまとめちゃうと、ありふれてる話じゃないかと思われそうですが
特に登場人物の一人であるプロレスラーの守口廃尊が魅力的でして。

 

根本は臆病でルサンチマンを抱えている。でも素直で熱くて、妙な可愛げがある。
怖いな、と思いながら好きな事に対して真摯で誇り高くこれで生きていきたいと考えている。

 

最初は試合のせいで顔面が特徴的に歪んでいる、という点で守口に主人公は興味関心を持つのですが
言葉や体で感覚の扉が開かれていくのが優しくて良かったな。

 

雨乞いとか、先っちょだけ、とかウケ狙いだけになりそうな要素がその後にキーとして繋がるのも良かった。

この本の登場人物みんな好き。

 

 


4.0216 カスガ
コミケへの聖歌

 

 

突如、現代日本で天変地異が発生し、更には内乱が起きて文明が失われた世界。
そんな何もかもが終わった世界で創作活動に励む少女達のお話。

 

どんなに物資が無くても環境が悪くても、創作する為に生まれてきた人間の衝動は止まらない…ってのに、一創作者として胸が打たれた。

 

最近ドクターストーンを履修したのもあって、文明は常に発達するものだと思っていたけれど、
現実は知識や特殊な技術の継承は一度失われると二度と復活する事はないのだろう。


ただ「ホンモノ」だったものが擦り切れていくのを指を咥えているだけ…。
その絶望感が想像に容易く、しんどい。

 

狭い集落で各々が求められている役割を自覚するのを、この作品においては成長痛と呼びたくない。少女でいて欲しい。

 

少女達の生活の解像度が上がる度に辛くなったけれど、面白かったです。

 

 


5.0224 嶽本野ばら
天橋立物語

 

 

野ばらちゃんの新作だー!やったー!
キュートで爽やか。そして面白さが汁だく、ドバドバです。

 

大石タネというロリータ先生、キャラが強烈で先生としてアカン人ではある。
でもめちゃくちゃいい人というか、一本筋が通っていて気持ち良いです。

 

学園もので登場人物が今回多いからこそ、対等な関係とは何かを考えるきっかけにもなりました。

色んな組み合わせが描かれているからこそ、大石先生と姫山さんの特殊な関係がより際立っていました。

 

百合とはまた違う、友情や恋愛関係ではない、それこそ依怙贔屓…という関係がなんだかとってもちょうど良い。

 

ネタバレになるからあれだけど、とあるキャラの設定がとても現代的で笑ってしまった。

 

 


6.0225 年森瑛
N/A

 

 

主人公のまどかは生理が来る事を嫌悪している。
でも、己の女性性を否定している訳ではない。

 

大人の女になることを強要されて、私のものだけだった体が、社会を継続させるのに必要な共通の資産、みたいに見られる。
私も思春期の頃、それがすごく嫌だった。

 

文学的に考えるならきっと↑のように解釈すれば良いんだろうけど、純粋に嫌だよね、生理。
腹痛いし、失敗すると恥かくし、股からコントロール出来ない体液垂れ流しぞ。

 

生理が来ないようにご飯を食べないまどかは親に「拒食症」だと思われている。
それこそ女性性を拒んでいるとも思われているだろう。

 

けれど違う。まどかは己の体の主導権を手放したくないだけだ。
まどかの気持ちも、親からしたらそう捉える気持ちも分かる。

 

まどかは親友でも恋人でもないない、ぐりとぐらみたいな、かけがいのない他人を持ちたいと考え、うみちゃんという年上の女性と交際をしている。

 

まどかとうみちゃんは、交際に求めている事が当然ながら全く違う。

まどかは自分の輪郭を確かめる為に。うみちゃんは仲間内で認められる為に。

 

うみちゃんの考える「仲間観」にゲボが出るかと思った。馬鹿な頃の私だからである。

 

マイノリティの話と混ぜるなと怒られそうだけれど、
『自認は全く違う性質なものなのに、外から見た時、とりあえずで雑に分けられる』
のが共通という事でオタクの話をする。

 

私はとあるキャラのオタクで夢女なわけだが、その中でも色々と譲れる事、譲れない事があって。
でもそれは面倒くさ過ぎるから人にわざわざ言わなくてもいいと思っていて。好き嫌いや拘りは時に他人を傷付けるから。

 

でも、価値観が一緒の同志がいたら心強いな、と思っていて。

 

だからね、外枠が同じ人と親密になった事があるのですが
抱えてるものが違い過ぎて、親密になればなるほど苦しくなって結局仲違いしたので
安易に「仲間」だと一種のレッテル貼りをするのは本当に良くないな、って。

 

「仲間」である前に、今目の前にいるのは「他人」であるという事を忘れないように。

 

うみちゃんの話が主題ですが、他者が大切に思っている事を雑にカテゴリで分けて、
主語デカ批判されるエピソードには凄い腹が立ったので私も気を付けたい。

 

恋人というフィルターが剥がれた後のうみちゃんと会う事で、まどか自身の偏見も少し薄れるのが良かったです。

 

 


7.0228 上村裕香
救われてんじゃねえよ

 

 

ヤングケアラーがテーマなお話。


私の親は割と問題がある人だが、健康面や金銭感覚は割とまともなので当事者ではない。

 

だから読んでいて、主人公の両親達の病気とかそれ以前のダメさに凄くイライラした。
自分本位な生き方しか出来ない両親の描写がとてもリアルで、ウッとなり何回か本を閉じた。

 

他人である読者からすると早くこんな環境から離れるべきだ!と強く思うはずだ。

それでも、こんなにも醜悪なのに切り捨てられない…という不思議。

 

両親の配慮のないセックスを、BLというクッションを挟みつつも自分にも欲はあるからとそこまで嫌悪していないのが、
達観というよりかは人間を神聖視していないな、って思って、そこにある種の若さみたいなものを感じたのが良かった。

 

正直親のせいで…と思う所はこの年になってもある。
けれど(父親は絶許だけど)垢抜けない地元が妙に好きだったり、共通する思い出がトリガーなのか、なんだかんだ母親と話すと落ち着いたりする。

 

これが血の不思議!とかスピリチュアルは好まないので言わない。

でも、忘れるくらい自然の中で親から刻まれたものっていうのはあるよな、と主人公の気付きに共感する。

 

めちゃくちゃ嫌な気持ちにはなるけど、改めて家族という関係と、期待。そして自立する未来というものを考えるきっかけになる良い本だと思いました。

 

救われてんじゃねえよ、って タイトルは
結局自立というか見捨てる事を選んだ主人公が自分自身に言ってる言葉なのかな。
愛情があるが故の罪悪感とも取れる。

 

それとも世間が勝手にハッピーエンドになったね、良かったねと他人事として消費する事に対して毒付いているのかな。

個人的には前者だと解釈しています。